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外壁塗装の前に知っておきたい各部名称

外壁塗装の前に知っておきたい各部名称

住宅の部位にはそれぞれ名前と役割があります。外壁屋根をリフォームするとき、外壁屋根本体以外の付帯部分も工事するのが一般的です。業者さんと施工内容を相談する際、それらの名称を知っていたほうが理解しやすく打合せもスムーズです。また見積書にも細かい名称が書いてあることが多いので、塗り忘れや手抜きがないかチェックするのに役立ちます。

それでは各部分の名称について写真とともにご紹介します。

雨とい

雨といは、屋根に降った雨水を集めて地上や排水口へ流すための設備です。富山・石川では大雪になると、雪の重みで雨といが壊れたり変形してしまうこともあります。しかし雨樋がないと、雨水が屋根から地面に直接落ちて、跳ね返った泥水で外壁が汚れたり、騒音の原因になってしまうことも。曲がりや歪みなど雨といに異常が見られる場合は、早めの修理をおすすめします。

雨とい(集水器・上合)
雨とい(集水器・上合)

破風(はふ)

切妻屋根の妻側、三角形の斜辺部分のことです。雨樋がついてないほうと言えば、わかりやすいかもしれません。ここに取り付けられる板を破風板と呼びます。

破風、鼻隠し、軒天

鼻隠し

軒先の先端には鼻隠しという板が取り付けられています。雨樋がついているほうの屋根の先端です。鼻隠しは雨樋の支持金具を取り付ける下地材にもなっています。破風板と鼻隠しは、屋根の横や下から雨風が吹き込むのを防ぐ役割があります。また鼻隠しもまとめて破風と呼ぶこともあります。

(左)鼻隠し塗装(右)破風板塗装

軒天(のきてん)・軒天井(のきてんじょう)・軒裏(のきうら)

屋根や庇などが外壁より出っ張っている部分の裏側を軒天・軒天井、または軒裏とよびます。ふだんは雨が当たらないため劣化に気づきにくい軒天ですが、湿気が溜まりやすいところです。破風や鼻隠しの劣化を放置すると、軒天に雨水がしみてきて、やがては内部に侵食し、雨漏りにつながることもあるので侮れません。

軒天は日が当たらず色が暗く見えるので、白もしくは外壁より薄い色にすると室内から見たときに外が明るく見えます。

庇(ひさし)・霧除け(きりよけ)

窓やドアなどの開口部の上に設けられた小さな屋根を庇または霧除け(霧避け)とよびます。庇は、雨の吹き込み防止と日よけの役割を果たしています。庇があると、窓枠をつたう雨だれも少なくなるので、汚れにくくなるのです。

庇がない場合、外壁の窓枠の下が傷みやすくなります。年数が経つと、窓枠の下に縦に黒ずんだ線がついてしまい、そこから外壁の傷みが進行することもありえます。一般的な住宅では、庇の表面は板金が多く、再塗装でサビから守ることができます。

庇塗装

矢切・屋切(やぎり)

外壁と屋根のあいだにある三角形のスペースを指します。雨があたりにくい部分なので換気口をとりつけたり(妻換気)、意匠をつけたり、外壁部分と異なった色や素材で仕上げていることもあります。

換気口のある矢切

幕板(まくいた)・帯板(おびいた)・胴差(どうざし)

幕板とは1階の外壁と2階の外壁を区切る仕切りの板のことです。帯(おび)、帯板(おびいた)、胴差(どうざし)または化粧胴差とも呼ばれます。ツートンカラーの外壁などで色にメリハリをつけるため装飾目的で設置されています。

幕板は構造上、外壁より少し出っ張っているため、雨水が溜まりやすく劣化しやすいところです。塗膜の剥がれ程度ならケレン作業(サビや汚れ、古い塗膜を除去して塗面をきれいに整える)をして塗装、傷みが激しい場合は幕板自体を交換します。

幕板

化粧枠(モール)

窓(サッシ)まわりの化粧部材です。窓モールと呼ばれることもあります。北欧風の住宅や、コロニアル様式の外観によく見られます。

化粧枠

雨戸

飛来物や強風から窓ガラスを守る目的で取り付けられているため、台風の多い地域でよく見られます。富山・石川のような寒い地域では、防寒対策にもなります。また防犯、防音の効果も期待できます。

面積が大きいため色あせや汚れを放置すると、外壁の他の部分を塗り替えても雨戸だけ目立ってしまいます。外壁塗装の際は戸袋とあわせて塗替えましょう。

雨戸
雨戸と戸袋

戸袋

雨戸を収納する箱状のスペースです。新築では、開閉のラクな雨戸シャッターが近年主流になってきているため、戸袋がないケースも多くなってきました。(シャッターの場合はシャッターボックス)

雨戸や戸袋の塗装はパーツが多く、隙間の塗り忘れや錆び落としに気をつけなければいけません。

雨戸マドリモシャッター
雨戸・マドリモシャッター (c)YKKAP

入隅(いりずみ)・出隅(でずみ)

内側に凹んでいる角を入隅(いりずみ)、外側に出っ張っている角を出隅(でずみ)といいます。建築現場では「計測基準点から出隅まで何ミリ」というように、長さを測定するときにも使われます。またタイルを貼る場合、基準点から入隅(出隅)まで何枚というように伝えたりもします。

塗装の際はローラーが入らない細かい部分をハケを使って丁寧に仕上げる必要があります。

入隅・出隅

パラペット

屋上やバルコニー等の外周部に設置された低い壁(立ち上がり部分)のことです。学校や病院の屋上外周にある少し立ち上がった壁を見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。近年はマンションやデザイン住宅にも採用されることが増えて、窯業系サイディングや金属外壁等、素材に合わせたメンテナンスが必要になってきています。

パラペットと笠木

笠木(かさぎ)

パラペットの上端には雨水が入り込まないように笠木が設置されています。たとえばベランダ上部に、内側に傾斜をつけて笠木を取り付けることで、外側の壁に雨水が垂れないようにするなど、家の外観を美しく保つために役立っています。

笠木の継ぎ目は雨水が侵入しやすいので要注意です。また経年劣化によって腐食したり強風で外れたりすることもありえます。劣化がひどいものは笠木を交換したほうがよいでしょう。

内勾配笠木
内勾配笠木 (c)YKKAP

面格子

面格子とは、目隠しや防犯対策として窓の外側に取り付ける格子です。格子の密度が高いものは外から家の中を見えにくくする役割があり、特にトイレや風呂、道路側に面した窓等に取り付けられます。縦に細く並んだ和風面格子や蔓のようなデザインをあしらった洋風面格子があり、美観維持のためにはあわせてお手入れしたいところです。

和風面格子と洋風面格子
(左)和風面格子 (右)洋風面格子 (c)YKKAP

水切り

壁と基礎の間に入れられた金属製の仕切り板のことです。窓の下に施工されていることもあります。水切りは住宅の上部から流れてくる雨水を受けて、直接土台に流れないようにして、土台や基礎へ水が侵入するのを防ぐ役割があります。

水切りが傷んで基礎土台に雨水が入り込むと、基礎腐食の原因になり、隙間からシロアリが侵入しやすくなってしまいます。

水切り

濡れ縁(ぬれえん)・ヌレン

濡れ縁をひとことで言うなら「濡れてしまう縁側」です。室内ではなく外側に設けられた縁側で、屋根がありません。あっても濡れ縁と同じ幅ほどの軒しかないので、基本的に雨ざらしです。たいていは、すのこ状で雨水の切れを良くしています。伝統的な和風住宅にみられる濡れ縁は、裸足のまま外に出てくつろぐことができる空間です。

近年はメンテナンスしやすいアルミや樹脂製も出てきていますが、天然木であればこまめな補修が必要です。腐ってしまわないように、汚れを落とす下地処理をしてから色味の合うオイルステイン(木材保護着色剤)で保護しましょう。

濡れ縁
濡れ縁のある古民家

デッキ

濡れ縁よりも広いデッキ。バーベキューやガーデンパーティーを楽しむご家族も多いのではないでしょうか。広いゆえに汚れていると目立ってしまいます。日頃から、ゴミや汚れが溜まらないようにほうきやデッキブラシで掃除し、こまめに保護塗装するとぐんと長持ちします。植木鉢やプランターは、同じ場所に置いておくと底面に湿気がたまり、腐食したりカビが生えてデッキが傷んでしまうので、定期的に移動するのがおすすめです。

デッキ

まとめ

外壁や屋根だけ塗装して、上記に挙げたような付帯部分を塗装しないと、色あせが目立ってしまい、せっかくの再塗装の仕上がりがいまひとつになりかねません。足場代もかかりますし、基本的には同時塗装・補修がおすすめです。

しかし、どんな塗装がふさわしいか、取り替えたほうが良いのか、部位や部材、状態によって異なります。気になるところがございましたら、オンリーワンリフォーム石友までお気軽にご相談ください。